Webマーケティングとは?
目 次
1 Webマーケティングの概念を図式化すると
「Webマーケティング」とはどのようなマーケティングを指すのでしょうか?沢山ある「〇〇マーケティング」の中での位置づけや明確な違いはあるのでしょうか?
〇〇マーケティングの代表ともいえる、(1)マーケティング、(2)デジタルマーケティング、(3)Webマーケティングの概念は、下図のように、大まかに捉えられるのではないかと考えております。
(1)「マーケティング」(一番外枠の円)
リアルの世界もデジタルの世界も両方含んだ、大元の大きな概念です。
(2)「デジタルマーケティング」 (次の内側の円)
リアルの世界ではなく、デジタルの世界に特化したマーケティングです。 (デジタルの世界には、インターネットを介したソフトウエアと、デジタル機器を活かしたハードウエアの両方があります。(ソフトウエアには、Amazonや楽天などのECモールもあれば、Web広告等もあります。ハードウエアには、デジタル機器としてデジタルサイネージやデジタル広告などがあります。)
(3)「Webマーケティング」(一番内側の円)
デジタルの世界でもWebサイトを中心としたマーケティングです。このWebマーケティングには広義と狭義があると考えらております。(詳しくは後述させていただきます。)

(4)SNSマーケティング(LINE、Facebook、Twitter、YouTube等)
LINE、Facebook、Twitter、YouTube等のSNSを使ったマーケティングです。このSNSはWebアプリを使って、Webページ(ホームページ)の一部にも組み込めるので、Webマーケティングにもデジタルマーケティングにも属する概念と捉えられております。
2 「Webとは?」広義と狭義の2通りの意味で使われる…?
Webマーケティングの話をする前にそもそも「Web」とは、どのような意味でしたでしょうか?
直訳すると、「蜘蛛の巣」や、「複雑な構造のクモの巣状の物」という意味となります。以下の地球儀をパソコンで繋いだ蜘蛛の巣の図を見ていただければ、イメージし易いのではないでしょうか?

しかし、インターネットの世界での「Web」は、以下のとおり、狭義と広義で2つの違う意味で使用されている現状があります。
(1)狭義の「Web」はWebサイト(ホームページ)
狭義の意味で使われる「Web」はWebサイト(ホームページ)単体を意味します。Webサイトとは、HTMLやCSS、JSでプログラミングされたWebページが集まったWebページ群です。 (CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の場合はPHPも含む。)

(2)広義の「Web」はWWW(World・Wide・Web)
広義の意味で使われる「Web」はWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)のことを指します。具体的には、「世界中に広がるハイパーテキストで繋がれたWebサイト(及びウェブサーバ)で結びつけられた全世界的なシステムそのもの」です。

(3)異なる2つの言葉が、同じ「Web」と呼ばれている要因
(1)の「Webサイト」は略称として「Web」と呼び、(2)のWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)は長くて言いずらいので、「Web」と呼んでいる為、このような、同じ呼称「Web」における2つの意味が発生していると考えられます。
狭義の「Web」…①Webサイト(ホームページ)単体。
広義の「Web」…②WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)のこと。
3 Webマーケティングも2つの意味で解釈される現状がある
このように、「Web」が狭義(webサイト)と広義(Webの世界全体)の2つの意味で使われている為、「 Webマーケティング」も同様に、狭義と広義の2通りの意味が存在しているのではないかと考えられます。
(1)「Webサイト単独」を指す場合の「Webマーケティング」
Webサイト(ホームページ)に特化したマーケティングですので、ホームページ単独できる、GA4等でのSEO対策やWeb広告等が上げられます。

(2)「WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)」を指す場合の「Webマーケティング」
「Webサイトを中心としながらも、Webの世界全体を活用したマーケティング活動」ですので、Webサイト単独ではなく、Webの世界に広がる他のWebサービスを活用した取りくみとなります。具体的には、Webサイトにあるブログ等のコンテンツをSNS等の他のWebサービス内で拡散したり、逆に他の決済システム等のWebサービスを自社のWebサイトで利用する方法があります。

(3)World Wide Web でのWebマーケティングを可能とする技術「API」
WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)でのWebマーケティングを可能とするのがAPI(application provider interface※)という公開された簡易プログラムです。これはどのホームページでもHTMLのheader領域等所定の位置に組み込むことで利用できます。もちろん、WordPressサイト以外のサイトでも利用できますが、WordPressの場合はそのようにソースコードを書き換えなくても、プラグインを活用することにより、利用できる点などが上げられます。

そして、WordPress側で他の他のWebサービスが公開したAPIを活用することにより、実現する可Webマーケティングには以下のマーケティングが上げられます。
①SNSマーケティングとの連携マーケティング
WordPressで作成したコンテンツをSNSとAPIで連携させて、各SNS内で拡散したり、逆にSNSに掲載された画像等を自社のWebページに連携させ掲載させることができます。
②メルマガとの連携マーケティング
メルマガ送信が可能なMail Poet(無料プラグイン)を使えば、ブログやランディングページをメールサーバーとAPI連携して、定期的にメルマガ送信をすることができます。
③決済サービス等その他の機能のマーケティングでの活用
他のWebサービスである「PayPal」や「Stripe」などの決済サービスとAPI連携すれば、自社WebサイトにEC機能を追加したりすることができます。
広義の「Web」…②WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)のこと。
(4)Webマーケティングは狭義・広義どちらの意味で使われるの?
一般的には、Webマーケティングといえは、前者のWebサイト(ホームページ)に特化したマーケティングを指すこともあるようです。しかし、「Web」を広義の意味(World Wide Web(ワールド・ワイド・ウェブ」)と捉え、「Webの世界全体で展開するWebマーケティング」と捉えられた方が自然ではないかと考えております。
4 Webマーケティングが可能なサイトとそうでないサイト(動的サイトと静的サイトの違い)
この広義のマーケティングが可能となるWebサイトとそうでないWebサイトでは使われるプログラム言語により違いがあります。
その区分として、よく静的サイトと動的サイトという言葉が用いられます。
静的サイトとは、単純に(HTML,CSS,JS)でできたサイトのことです。一方、動的サイトは、PHPによって、データベース(SQL文)を呼び出す機能があったり、Webページに管理画面が設定され、Webページを管理する機能があるサイトです。いわゆるCMS機能付のWebサイトです。
このCMS機能付きのWebサイトは、静的なサイトができるマーケティング(SEO対策等)に限らず、コンテンツマーケティング等広くWebの世界で販促していける機能をも併せ持ちます。具体的には、前述したとおりですが、それ以外にも沢山あります。CMSのうち代表的なものにWordPressがあります

5 Webマーケティングが目指す、マーケティングとは…
このようなWebマーケティングですが、実際に目指すべき目標や顧客との継続的な関係性の築き方等、具体的なマーケティングのあり方にはどのようなことがあるのでしょうか?
以下2名の経営学の権威の言葉の中に、その目標や形成したいマーケティング目標が述べられているように思います。
(1)【フィリップ・コトラー】
マーケティングとは「ターゲット市場を選択し、優れた顧客価値を創造し、提供し、伝達することによって、顧客を獲得し、維持し、育てていく技術および科学である」

(2)【ピーター・ドラッカー】
マーケティングの狙いは、販売努力を不要にすることである。顧客を知り尽くしたうえで、何もしなくても売れていくような、顧客ニーズに合致した製品やサービスを提供することが、マーケティングの目指すところである。

(3)2人の学者の共通点(まとめ)
2人に共通する「マーケティングの概念」を整理すると、以下①~④にまとめられるのではないかと考えられます。
①探索(選択)活動 …対象市場、対象顧客を探し当てる探索活動が必要
②伝達(広報)活動 …顧客価値を創造し、提供し、伝達(広報)することが必要
③顧客維持活動 …獲得した顧客を維持し、育てていくことが必要
④購買の仕組みづくり…最終的には、黙っていても買ってもらえる仕組み(システムのようなもの)を作る
6 Web マーケティングが通常のマーケティングに比べ優れている点
では、Webマーケティングが一般のマーケティングに比べて優れている点はどこにあるのでしょうか?
それは、上記マーケティングにな有効な活動(①探索活動、②伝達(広報)活動、③顧客維持活動、④購買の仕組みづくり)をインターネットの世界では、システマチックに実現がし易い為と考えられます。
そして、デジタル技術によるコンテンツや仕組みがWebの世界で一旦つくられると、それらが「無形固定資産」(のような存在)として存在し続け、継続的に活用できる点にあると考えられます。具体的には、下記3つに分けられ、継続的に利用・管理できる点が優れていると考えられます。
※ 貴社の Web マーケティング資産は何点? web サイト 「 Get Started tofit your Web Marketing 」 http://www.hivelocity.co.jp/blog/96402016 年 9 月 19 日参照
①コンテンツ(広報用の画像や動画、文字情報等)資産
一旦作られたコンテンツは Web 上で公開し続けることができ、いつでも何度でも再利用やコピーが可能であり、また、修正や変更等も行い易い。
(※ そもそも、紙媒体などの固形物であるカタログ等は1年以上在庫になると流動資産 として資産計上が必要になるとのこと。)
②プログラミン資産
WordPressには約6万(2022年9月時点)にのぼるプラグインと呼ばれるWebページで機能するアプリケーションを無料で基本的に使い続けることができます。このプラグイン中ではWebアプリケーション(電子決済システム、メルマガ発送システム)とのAPI連携を補足する為のツールとして使えるプラグインもあります。
また、WordPress自体がWebアプリケーションとしてのプログラム資産としても捉えれる為、WordPressで作られたWebサイトは会計上、プログラム資産と捉えられることもあるようです。
(※ 会計上、EC機能付きのWebサイトなどはプログラムとして減価償却の対処になる場合もあるとのこと。)
③ネットワーク資産
SNSとWebページを連携させて、ブログ記事をSNSに拡散(シェア)することもできます。これはWordPressというWebアプリから、API(簡易プログラム)を用いて他のWebアプリ(ソーシャルネットワーク)にアクセスできることにより達成できます。またそのソーシャルネットワークの中でのネットワーク規模(「いいね」登録数等)が大きいほど効果を持つことができます。このようなネットワーク(ネットワーク資産(無形のプログラム固定資産)と捉えられることができるのではないかと考えます。
(※ 会計上、会計上LAN構築の際のアプリケーション費用や、ネットワーク費用も無形固定資産として計上できることになっているとのこと)
7 Webマーケティングの具体的方法
会社の業態は多岐にわたるため、一概には言えませんが、主要なマーケティング活動は下記項目があげられます。
① コンテンツマーケティング
自社のPRしたい商品やサービスに関係する知識やスキル、ノウハウ等をブログ形式でホームページに掲載していく活動。その結果、顧客に狙ったキーワードで自社のホームページを検索され易いようにする活動
② SNSマーケティング(ソーシャルメディアマーケティング)
Facebook や Twitter などの自社の SNSページ を自社サイトに埋め込む。または、SNSにWebページを連携して表示させることで、いわゆる「拡散」を行う。見込み客等にPRし、購買に繋げることや、既存顧客との関係性を維持し、リピート購買を狙う活動
③ダイレクトマーケティング(メルマガ)の発信
無料のプラグイン(Mail Poet)を使えば、ブログ記事をメルマガとして、登録したメールアドレス一覧(顧客)へ一斉送信すること等ができます。
④Web 広告による自社や商品の宣伝
⑤アクセス解析
GA4等のアクセス解析ツールを用い、サイトへの流入経路やサイト内の回遊状況を探る活動
⑥各種SEO対策
メタタグやh1タグなどにキーワードを入れ込んだり、権威あるサイトからの外部リンクを張ってもらうなど。
これらのweb上で行うマーケティング活動は、Webの特徴を生かして、リアル(一般的なマーケティング活動)で行う活動以上に優れた点があります。
8 まとめ
以上の点において、Web マーケングは、従来のマーケティングに比べ、優れたマーケティング手法と言えると考えます。
しかし、その効果については、必ずしも即効性が期待出来たり、Web 以外のリアルの世界でのマーケティング努力が不要ということではありません。
理由は、①Web マーケティングは WordPress というブログソフトや Facebook や YouTube 等の SNS との爆発的な普及によりここ10数年来で発展してきたマーケティング手法であり、その活用方法やカスタマイズ(簡易なソフト開発)方法にはそれなりの知識やスキルが必要な為、②Web 上でのそのような仕組みが出来上がる為には Google の Search エンジンに認知される必要等(SEO対策)があり、それに時間を要する場合がある為等 と考えます。
よって、業種にもよりますが、まずは Web の世界だけで成果を出そうとせずに、当該企業の実情にあった on-line と off-line のバランスを保ちながら、段階を追って Web マーケティングに取り組むことも重要と考えます。

いずれにしても、今後、この「Webマーケティング」という概念(手法)は、マーケティングを実践していく中で外すことができない重要な概念(手法)になっていくことは間違いないと考えます。
2023/09/25